この記事はメディア事業や宇宙事業を手がけるスカパーJSAT【9412】について素人なりに調べてみました結果をまとめています。結論としては長期保有銘柄として保有しても良いのではと思います。テーマは「5G」です。
スカパーJSATとは
スカパーJSATとは、「日本の通信衛星事業者」、「衛星放送プラットフォーム事業者」、「有線一般放送事業者」です。2008年10月1日、スカパーJSATグループの中核事業3社のうち、スカパーを存続会社とし、衛星運営会社のJSAT株式会社、宇宙通信株式会社を合併して誕生しました。また、衛星インフラを主軸としている電気通信事業者であり、十数機の通信衛星を運用、アジア随一、世界有数規模の通信衛星を保有する企業です。このスカパーJSATには「メディア事業」と「宇宙事業」の大きく二つの事業セグメントがあります。
メディア事業について
メディア事業は有料多チャンネル放送の「スカパー!」を運営しています。しかし、スポーツ放映権料が世界的に高騰しており、そのあおりを受けてJリーグの放映権がダ・ゾーンに移りました。また、昨今ではamazonプライムビデオやNetflix、AbemaTVなどのインターネット有料、無料コンテンツが台頭してきており、スカパーにとっては非常に厳しい環境になっています。そのため今後もメディア事業が大きく伸びることは考えにくいと思われます。
以下、「年度末登録者件数(千件)」になります。この推移から見ても今後も会員数は減少していくことが予想されます。
2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | |
年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | 年度 | |
個人契約件数 | 3,708 | 3,688 | 3,725 | 3,814 | 3,829 | 3,717 | 3,461 | 3,483 | 3,320 | 3,262 |
スカパー! | 830 | 1,126 | 1,404 | 1,737 | 1,963 | 2,056 | 2,120 | 2,195 | 2,093 | 2,084 |
プレミアムサービス | 2,737 | 2,456 | 2,211 | 1,963 | 1,762 | 1,571 | 1,254 | 1,203 | 1,144 | 1,094 |
プレミアムサービス光 | 99 | 106 | 110 | 114 | 104 | 90 | 87 | 85 | 83 | 85 |
その他有線系 | 42 | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
宇宙事業について
宇宙事業としては通信衛星を維持するために、横浜、茨城、山口にネットワーク管制センターを保有しており、センターから衛星をコントロールし維持運用を行っています。この衛星を利用した、衛星IPネットワークサービスなどを手がけています。衛星IPネットワークとは衛星通信を利用した通信サービスになりますが、そもそも衛星通信とは、赤道上空約36,000kmの静止軌道上に打ち上げられた衛星に向けて送信局から膨大な情報を送信した後、地球にある受信局に向けて一斉配信を行う通信システムです。地上にてケーブル等の物理的な直接接続された伝送路を用いた通信方法とは異なるため、地震等の災害に強い「耐災害性」が大きなメリットだといえます。大手航空会社の国内線向けの無料インターネット接続サービスなどに利用されています。
また、宇宙事業の一つとして防衛省の基地や艦船、航空機通信に使われるXバンド通信衛星の打ち上げ事業等も行っています。
将来性について
2019年3月期第2四半期の連結業績によると、メディア事業は営業収益が30億円減少、一方で防衛省向け衛星の引渡し等により、宇宙事業の営業収益が231億円増加しています。上記にも記載している通り、メディア事業は頑張って現状維持が限界だと思います。宇宙事業についてはコンスタントに大規模なプロジェクトがあれば増益する可能性はあると思います。最近では衛星通信を利用した衛星ドローンの飛行実験等をNICT等と行っています。また、欧州の航空機メーカーであるエアバス社と光データ中継事業への参画などはなかなか面白いと思います。これにより広範囲で大容量のデータ通信が可能になるようです。また、STRAPS事業と称して5Gのバックホール(中継回線)などを担うことを検討しており、これが上手くいくとなかなか大規模な事業になるのではと考えています。
特徴としてはやはりインフラ事業者として独占的な地位にいるのが強みかと思います。衛星を保有し運用している企業としては国内には他に無いかと思いますので、IP通信のバックアップ回線や政府向け衛星打ち上げ事業等を担うために少なくとも今後も会社として存続していくと思います。また、現在では4%以上の高配当株でもありますので長期保有といった意味ではよいかもしれません。私自身含み益を抱えていますが、宇宙事業や5Gの将来性にかけて今後もしばらくはスカパーJSATをホールドし続けたいと考えています。
ちなみに2019年5月5日現在、スカパーJSATのPBRは0.6倍となっています。
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